ただ塩分を減らすだけが高血圧の対策ではありません。色々試してみて、自分に合う対策を取り入れてみましょう!
1、知らないうちに落ちている「味覚」
人は舌や口の粘膜に存在する味蕾(みらい)という部位で味を感知しています。味蕾は年齢と共に数が減っていき、
高齢者では新生児の約半分から1/3になるといわれています。ただし、自覚される割合がかなり少ないので
味覚が落ちていることになかなか気づけません。
そのせいで知らないうちにどんどん濃い味を好むようになり、濃い味にしようとして塩を使う量が増えていき・・・
という状態に陥ってしまいます。
ということは、味蕾の働きが落ちないようにすれば塩分量を抑えられるかもしれません。
味蕾は新陳代謝が活発で、1ヶ月ごとに生まれ変わっています。この生まれ変わりに必要なものが「亜鉛」です。
亜鉛を摂取することで味蕾の減少を防ぐことができれば、濃い味じゃないと味を感じない・・・
ということも少なくなるはずです。
亜鉛不足による味覚の低下は全体の約3割といわれています。また、亜鉛を摂取することで、
約7割の人が症状が改善するともいわれています。
濃い味が好きになってきたな、と思ったら、亜鉛が多く含まれる食品を取り入れてみましょう。
<亜鉛が多く摂れる食品例>※日本食品標準成分表(2015年版)参照

2、塩分摂りすぎた・・そんな時は
外食やインスタント食品、コンビニ弁当など初めから調理されている料理は塩分のコントロールが大変ですよね。
そんなときは摂った塩分を体の外へ出すのを助ける方法をとりましょう!
①食物繊維
食物繊維には腸の中でナトリウムをくっつけて体の外へ出す働きがあります。食物繊維の中でも、ネバネバしたものが
ナトリウムの排泄効果がよいとされています。
中でも海藻に含まれるアルギン酸が、その働きがより期待できるといわれています。
わかめや昆布、めかぶがおススメです。
②カリウム
カリウムを摂取すると、カリウムが体の中に吸収される代わりに、ナトリウムが排泄されていきます。
血圧が高くなってきてむくみが気になるようであれば、積極的に摂ってみてもいいかもしれません。
特に果や野菜にカリウムは多く、バナナやメロン、ほうれん草やじゃがいもがおすすめです。
ただし、腎機能が落ちている方はカリウムの摂り過ぎに注意が必要なので、医師に相談しましょう。
3、味の相乗効果を活用する
味付けを工夫することで、塩分少な目でもしっかり味を感じることができるようになります。
味の組み合わせを知って減塩をしてみましょう。
①塩味+うま味
うま味をきかせることで、少量の塩分でもしっかり味を感じることができます。
「だし」はうま味が凝縮したものです。この「だし」を上手く利用しましょう。
<うま味成分が多い食材>
・グルタミン酸:昆布、のり、トマト、チーズなど
・イノシン酸:かつおぶし、牛肉、鶏肉、豚肉、のりなど
・グアニル酸:干ししいたけ、のりなど
・コハク酸:あさり・しじみなど
これらは単独で使うよりも組み合わせて使うほうがよりうま味が引き立ちます。
意外かもしれませんが、トマトやチーズでもだしが取れます。
実は、のりはうま味成分を3つ(グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸)も含みます。
のりまきやおにぎりがおいしい理由がわかりますね。
<だしのより良い組み合わせ>
☆グルタミン酸+イノシン酸・・・代表的なものは、定番の昆布とかつおの合わせだし。
単体で使うよりも約7倍ほどうま味が増すともいわれています。
昆布:かつおぶし=約1:1の割合で使うとよりうま味が引き立ちます。
☆グルタミン酸+グアニル酸・・・代表的なものは昆布と干ししいたけの合わせだし。茶碗蒸しなどによく利用されています。
昆布:干ししいたけ=約7:1の割合で使うとよりうま味が引き立ちます。
②塩味+酸味
本来は酸味を抑えるために塩を添加するのですが、逆を言えば塩味が少なくても酸味を利かせれば味がしっかり感じられる、
ということ。
酢、レモン、かぼすやすだちなどのかんきつ類系の酸味を上手く利用しましょう。
酢に多く含まれる酢酸には血管を広げる働きがあるので、血圧が高い方におすすめです。
4、健康によい油を取り入れる
青魚に含まれる油の「EPA」や体内でEPAに変換される「αーリノレン酸」には、血流の流れをよくして血圧を下げる働きがあると言われています。
①「EPA」が豊富で取り入れやすい魚
サバ・イワシ・アジ・さんま など
②「αーリノレン酸」が豊富な食材
えごま油、アマニ油
熱に弱いので調理の最後に加えたり、サラダ・スープ・ヨーグルトなどにかけて食べるのがおすすめです!
味をみながら加減してくださいね。
※油ですので、食べ過ぎれば同時にカロリーも高くなります。1日スプーン1~2杯程度を目安に取り入れましょう。